平成30年12月1日開催の成年後見制度講演会で寄せられた質問の回答を掲載しました。

Q 自身の子どもの後見人になる場合、子どもが何歳の時に申立するのがよいですか。

A 子どもが未成年の間は、親権者として財産管理や手続き等を行うことができるので、制度利用をする必要はありません。子どもが成人後、親が代わりに行うことができない手続き等が生じたり、親による援助が難しくなるタイミングで、制度利用を検討するとよいかと思います。

  なお、申立準備から後見人就任までに概ね3ヶ月ほどの期間を要することや、後見人は家庭裁判所が選任するため、親が必ず後見人になれるとは限らないことには注意が必要です。

Q 支援者が成年後見制度を必要と思っていても、本人や家族が必要ないと思っている場合はどうしたらよいですか。

A 法律上は、四親等以内の親族(いとこ等)や市長村長も申立ができます。しかし、本人や家族に制度利用の意向がないまま、支援者主導で制度利用をすすめても、実際には問題の解決にはつながらない可能性が高いと思われます。

  そのため、まずは本人もしくは家族に制度利用の必要性を理解してもらうことが大切です。なお、成年後見支援センターから本人や家族に制度説明を行うことは可能です。

Q 中日新聞の記事に「母のエプロン1枚買えず」の見出しで、母の食べこぼしの汚れを防ぐためのエプロンを、母のお金で買うことができなかった、との内容が出ていました。このようなことを防ぐにはどうしたらよいですか。

A 個別の事案について回答することは難しく、とりわけ、本来後見人が権限を有さない「日常生活に関する行為(民法第9条)」について、専門職の後見人が反対するに至った経緯は、新聞の紙面のみからでは判断が困難です。

  一般的に生じる問題として、専門職の後見人は、専門的知見を有する反面、家族と比べて本院の実情についての知識が乏しい場合が多く、支出の必要性の判断が、家族と合致しないことがあります。まずは、本人の特性や生活状況、生活上必要な物等を後見人に伝え、よく話し合うことが重要です。専門職の後見人が反対する場合には、何らかの理由がある場合が多いからです。

Q 認知症が疑わしい高齢の親が病院受診を拒否する場合、成年後見制度の利用はできないのですか。

A 成年後見制度は、認知症等により判断能力の低下が認められる人を対象としています。また、申立の添付書類として、成年後見制度所定の様式の診断書も必要になります。

  そのため、制度利用にあたっては、本人に受診してもらえる方法を検討する必要があります。診断書は医師であれば、専門を問わず作成が可能であるため、かかりつけの医師に相談してみてはいかがでしょうか。

Q 妻が実母の施設入所、住所移転手続き、年金、預貯金の管理を行っています。後見人にはなっていませんが、違法にはならないでしょうか。

A 手続きの種類にもよりますが、一般に、本人の委託を受けて、家族が本人に代わって必要な手続きを行うことは、不適法ではありません。

  しかし、本人の判断能力が低下して、委託の趣旨が理解できないような場合等には、後見制度の利用が必要となります。最近は、判断能力が低下している人の年金や預貯金の管理を家族が行うことを、金融機関が認めない事例も多いので、そのような場合は成年後見制度の利用についてご検討ください。

Q 父(施設入所)と弟(未婚)の二人暮らしだったが、弟が病気で倒れ、意識がない状態です。私と姉が他市に住んでいますが、自宅や車などの解約はできますか?

A【自宅と車が父名義の場合】

  本人に判断能力があり、売却等の意思を示すことができる状態であれば、本人から委託の上、家族が手続きを行うことは可能です。

  本人の判断能力が低下している状態であれば、本人名義の家や車を家族の判断で勝手に売却することはできないため、成年後見制度の利用が必要となります。なお、自宅については、後見人が選任された場合でも、売却には家庭裁判所の許可が必要です。

 【自宅と車が弟名義の場合】

  意識がない状態は判断能力が低下していると考えられるため、成年後見制度の利用が必要となります。なお、後日意識が回復し、判断能力を取り戻した場合は、家庭は裁判所に後見開始決定の取消を申立ることも可能です。

Q 後見人が決まる前に過去10年間の預貯金の横領をした親族に対し、横領分を請求する権限や、預貯金や不動産等の過去の記録を調べる権限が後見人にはありますか。

A 後見人は本人の代理人であるため、後見人が必要と認めれば、過去の財産状況を調査の上で、親族への請求を行う判断をすることもあります。

  しかし、調査を行うか否か、横領の事実が認定できるか及び横領の事実が認定できるとしても親族へ請求を行うか否かについては、慎重な判断が必要なため、後見人が必ず請求を行うわけではないことには注意が必要です。

Q 講演会の中で、後見人は身上監護として契約を行うことはできるが、直接的な支援はできないため、チームでの支援が必要という話がありましたが、基本的には全ての被後見人がそのような支援を受けられますか。もし受けていない人がいる場合、どのような機関がどのような流れで支援してくれるのでしょうか。

A 後見人には、本人の身体状況等に配慮し、適切な住環境を整える義務(身上配慮義務)があると解されています。そのため、必要な支援がなされていないと後見人が判断した場合には、家族・ケアマネージャー・相談支援専門員及び福祉サービスの事業所等と連絡調整を行い、本人にとって適切な福祉サービス等と契約することで、直接的な支援につなげるよう努力することが一般的です。

Q 被後見人が株を所有している場合、本人が希望すれば株の運用はできますか。

A 株の運用が必ず本人の利益になるとは限らず、本人の不利益となる可能性もあるため、既に本人が個別株式・ETFや投資信託を保有している場合の保持を除いて、新たなリスク資産の購入は行わない取扱いが一般的です。